名古屋高等裁判所金沢支部 昭和59年(う)17号 判決
所論にかんがみ,記録を調査して検討すると,本件は被告人が4件の無免許運転並びに1件の無免許及び酒気帯び運転を敢行した事案であるが,被告人は,交通違反を繰返したため,かねて取得していた自動車運転免許の取消処分を受けたのに,爾来無免許のまま自動車運転を重ね,多数回にわたり無免許運転の罪を含む道路交通法違反の罪で処罰されたもので,とくに原判示累犯前科欄記載のとおりの無免許運転の罪で2回(うち1回は酒気帯び運転の罪を伴う)懲役刑に処せられ服役した前科が存するのに,前刑出所後,何ら改悛することなく自ら本件自動車を購入し,1年も経たないうちに原判示第1の無免許運転行為に及んだうえ,次々に同第2ないし第5の各犯行を累行し,とりわけ原判示第4の無免許運転は同第1ないし第3の事実で公判審理中に,更に,原判示第5の無免許運転は同第1ないし第4の事実で公判審理中に,それぞれ重ねて敢行されたもので,いずれの運転動機にも酌むべきものはなく,被告人にとって交通法規は無いに等しいと評されてもやむをえないものというべく,被告人の法無視の態度は社会的に強い非難を免れず,これらの事情に徴すれば,被告人の刑責は重いといわざるをえないのであって,所論が本件と同種として掲記する事案とはその犯情を異にしているばかりでなく,それらの事犯と比較,検討してみても,なお原判決の量刑はやむをえないものであって,これが重過ぎて不当であるとはいえない。論旨は理由がない。